任意整理の手続きの流れ
1.事務所へ任利整理の相談をする
任意整理は、その後の全ての手続きを弁護士・(認定)司法書士にまかせることになるため、慎重に信頼できる弁護士や(認定)司法書士を探すべきです。相談などを事務員のみがしている事務所には注意が必要です。自分が心配なことや、疑問に思うようなことは全て聞いて「この人ならまかせることができる」と納得できるまで、絶対に妥協しないようにして下さい。そうすることで、依頼者との本当の信頼関係が築けるはずです。そして、その相談の中で「任意整理」をできる状態にあるかどうかを判断し、最善の債務整理方法を選択していきましょう。
2.手続きを依頼
依頼をする時は、「費用がどれぐらいかかるか」「途中経過は知らせてくれるのか」などをしっかりと確認し、契約書もしっかりと目を通すようにして下さい。このようなことを注意することで、その事務所の仕事のやり方も見ることができます。費用の一部を支払った場合などには、必ず領収書をいただくなど、後で争いにならないように細かい所まで注意をするようにして下さい。特に「任意整理」においては、報酬の計算が難しいため、終わってみるととても高額になっていることがあります。最終的におおよそどれぐらいになるかをしっかりと確認する様にして下さい。
3.各債権者へ受任通知発送・取引履歴の開示請求
弁護士又は(認定)司法書士がこの受任通知を各債権者に送ることで、借金の返済をする必要がなくなり、取り立ても一切なくなります。これは法律で定められており、この法律に反すると厳しく罰せられますので、ほとんどの債権者はこれで一切、依頼者とは連絡を取れなくなります。つまり、債権者側からすればこれは「水戸黄門の印籠」に当たるのです。そして、この取立てや支払いに追われない、精神的に落ち着いた環境の中で、今までの生活を振り返り、反省点を改善しながら、今後の生活や弁済計画について考えていきましょう。
4.利息制限法の利率(約18%)への引き直し計算・債務額確定
多くの場合、サラ金業者は25%〜29%の利息でお金を貸しています。よくテレビで見かけるCMなどでも「ご返済は計画的に」と言っていますが、あそこに書かれている利息はほとんどが違法金利にあたるのです。つまり、法律では、原則的に約18%以上の金利はつけてはいけないとされています。では、なぜあんなに堂々と宣伝しているのでしょうか?それは罰則がないからです。つまり、約18%を超えてはいけませんが、それ以上の金利をつけても、国も警察も何もできないのです。これはおかしいですよね!そこで、司法書士・弁護士が介入した場合は、それまでの取引を全て利率約18%に直して計算し直すのです。そして払いすぎている利息は元本に充当して、現在の法律に従った本当の借金の額を確定するのです。
5.過払いが出ている債権者へ過払い請求
利息を約18%以上取っている債権者との取引を、4で説明したように計算し直すと、元本も利息も全て支払い終えており、その後も支払いを続けている場合があります。これを「過払い」と言い、この払いすぎていた金額を取り戻す権利を手にします。この「過払い」は債権者との取引が10年を超えると発生している場合が多いようです。この過払金は、弁護士・司法書士が責任を持って取り戻すことになります。そしてこの過払い金は、他の債権者に対する返済に充てたり、弁護士・司法書士報酬に充てることで、その後の返済を楽にすることができるのです。但し、この過払い金を取り戻すためは、裁判を起こさなければいけない場合も多々あります。裁判をした場合には、過払金を取り戻すために半年以上かかることもあります。そのため、多くの場合、各債権者と弁護士・司法書士との間で裁判前に和解交渉が行われ、過払金の額の7〜9割で和解が締結されることもあります。どのぐらいの割合で和解を締結するかは、時間の問題と、裁判費用などの問題を考慮し決めていく必要がありますし、依頼者としての意見も弁護士・司法書士にしっかりと伝えておく必要があります。
6.各債権者に対し弁済計画案(和解案)を提示
全ての債務額を確定すると、それをどれぐらいの期間で毎月どのぐらいの額を返済していくかを各債権者に提示しなければなりません。本人の生活状況の中で、毎月借金の返済に充てることができる額を確定し、その額を基準とし返済計画を作成し、各債権者に提示することになります。但し、ここでの毎月借金の返済に充てることができる額というのが重要になります。今、頭の中に思い浮かべている収入と支出(できるかぎり節約を考える)で、計算された額では、まず間違いなく返済していくことはできません。机上の空論として、「あれを削って、これを我慢して」と考えることは可能ですが、それを実際に実行に移し、その額を3〜5年支払い続けていくことはまず不可能でしょう。つまり、その返済計画も決してギリギリの生活ではなく、少し余裕を持った返済計画を立てる必要があるということです。できるだけ短期間で、そして少し余裕のあるベストな返済計画を弁護士・司法書士と相談しながら、決めましょう。
7・各債権者との和解交渉
6の返済計画を元に、各債権者と和解交渉をします。この時にこれから生じるはずの利息(将来利息)のカットや、債務額の微調整を行うことになります。「任意整理」の手続きは法律上の根拠がないため、債権者が応じなければ、和解は決裂ということになります。もちろん多くの債権者は、「任意整理」の手続きに問題なく応じてくれますが、稀に応じようとしない債権者がいます。この場合は、時間をかけて粘り強く交渉することになるため、時間がかかることもあります。さらに、依頼者に援助していただける方がいると、借金の額は大きく変動する可能性があります。債権者はもちろん分割弁済に応じてくれますが、実際は一括弁済してほしいというのが本音です。そこで、弁護士・(認定)司法書士から一括弁済の提案をすると、場合によっては元本の6〜8割で和解をしていただける場合もあるのです。このようなことからも、もし、援助をしていただけるような場合は、お力を借りることも一つの選択肢として考えるべきでしょう。
8.各債権者と和解締結・和解書作成
各債権者との和解交渉を終え、和解契約を締結することになります。今後の争いにならないように、しっかりとした和解契約書を作成し、お互いがその契約書を持ち合うことになります。
9.本人に弁済計画表・和解書を交付
全ての債権者と和解が成立し、和解契約書も作成できると「任意整理」の手続きは終了となります。しかし、「任意整理」の目的は和解を締結することではなく、和解契約どおりの返済を続けていくことです。
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Last update:2023/9/15